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雑草入りスープを黙って飲む一家、断食明けの豪華な食事用意できず「今年はラマダンが来ないことを願った」 - 読売新聞オンライン

 【エルサレム=福島利之】イスラム教のラマダン(断食月)期間中もイスラエル軍とイスラム主義組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザでは、食料や水の入手が難しく、例年のような華やいだ雰囲気はない。「ラマダンを無事に乗り越えられるのか」と不安の声も上がる。

 飢餓が深刻な北部ガザ市に家族6人でとどまるムハンマド・ユーセフさん(41)は「今年に限ってはラマダンが来ないことを願っていた」と本紙通信員に話した。

 日々の食料を探すのも困難なため、断食明けの豪華な食事(イフタール)を用意できない。一家はイフタールの初夜、親戚らを訪問せず、雑草を入れたスープを一家で黙って食べた。「こんな寂しいラマダンは初めてだ」

 イスラエル軍は「ハマスの隠れ家」としてモスク(礼拝所)を攻撃した。壊れたモスクで祈りをささげる姿も見られる。

 本紙通信員によると最南部ラファの市場で肉はほとんど手に入らない。ジャガイモやトマトもラマダンで価格が高騰し、何も買えず歩き回る人であふれている。

 戦争下でもラマダンの雰囲気を少しでも味わおうとガザ市で甘味店を経営していたシャシャド・ネメールさん(57)は避難先のラファで、砂糖菓子「カターイフ」を作って路上で売り始めた。クレープのような生地にナツメヤシの実をはさんで油で揚げ、砂糖をかけた菓子は、ラマダンに欠かせない。

 1個3シェケル(約120円)で売るが、見るだけで買っていかない人ばかりで1時間待ち続けた子どもにタダであげた。ネメールさんは「砂糖と油が十分でなく、味は本物と違うが、カターイフがないとラマダンは過ごせない」と話した。

 ラファの路上でアリ・バルホウムさん(26)は、ラマダンの時に家や街を飾るランプ「ファヌース」を売っているが、「皆、食べ物を買うことに精いっぱいで誰も買ってくれない」と嘆いた。

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