記者コラム 「多事奏論」 文化部(大阪)記者 河合真美江
毎朝、つい欲ばって具だくさんのおみそ汁を飲む。大ぶりの輪島塗の朱色のお椀(わん)で。手に持って軽く、唇をつけてやわらか。買い求めたのは6年前、金沢総局で働いている時だった。
金沢に暮らして驚いた。ふと入る飲食店で地元の陶芸家や漆芸家の器がさりげなく使われている。名物の金沢おでんが九谷焼のお皿で出てくることもある。
工芸王国といわれる石川県では様々な伝統工芸の作家が技を受け継ぎ、磨き、作品展への出品も盛んだ。それに作品が暮らしの中で使われている。
私もそんな暮らしの一滴でも味わいたくなった。能登半島を北上して訪ねたのが輪島塗の人間国宝、小森邦衛(くにえ)さんの仕事場だった。弟子の作業を見守り、熱をこめて漆の話をする小森さん。彼が丹精こめたお椀を求め、日々使ってきた。
そして2024年元日。〈今年も仕事に誇りを持ち日々勤めてまいります〉
実直な言葉が並ぶ年賀状が輪島から届いた日、能登は大地震に見舞われた。
数日後、やっと連絡がとれた…
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