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健全な飲んべえは飲酒を「ひらめき」に使う 無礼講は避けるべき - 日経ビジネスオンライン

アルコールと脳の関係、飲酒したほうがクリエイティブに?

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柳本操=ライター

 お酒を飲むと楽しい気分になって、悩んでいたことも「どうにかなるさ」と思うもの。ただ、調子に乗って口にした暴言は、相手の記憶に深く刺さることも――。アルコールと脳の働きについて知りたいことあれこれについて、公立諏訪東京理科大学工学部教授で脳科学者の篠原菊紀さんが解説してくれた。(写真:123RF)

「考えすぎ」モードから解放。ひらめきが起こりやすくなる

お酒を飲むと明るい気持ちになり、楽しい時間を過ごすことができる一方で、無礼講とばかりにずけずけと物を言いすぎて、後悔することもあります。お酒を飲むときに、脳にはどのような変化が起こっているのでしょう。脳への良い効果、悪い効果について聞きたいと思います。

篠原さん:過剰な飲酒を長期間続けると、当然ながら認知機能低下につながります。ただ、それだとわずかな飲酒もいけない、というような話になり、悲しい感じになるので(笑)、まずは飲酒の良い効果、と考えられる研究の話から始めましょうか。

 まず、お酒を飲むと明るい気持ちになる、という話から。

 アルコールは、脳の「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)」において快感ホルモンと呼ばれるドーパミンの分泌を促し、明るい気持ち、楽しい気持ちを誘発します。

 また、脳の痛覚を伝えるルートや精神機能と密接に関連している脳内のオピオイド受容体の活動を促進し、脳の「側坐核」の活動を高めます。オピオイドは、鎮痛薬として知られますが、オピオイド成分は脳内のオピオイド受容体とくっつき鎮痛作用を発揮します。アルコールは、このオピオイド受容体に影響を与え、気持ちよさや発想の豊かさといった効果を示すとされています。

 また、アルコールには脳のGABA(γ-アミノ酪酸)神経系の受容体を刺激し、抑制系であるGABA神経伝達物質の働きを強めます。そのおかげで、脳が過剰に考えることを抑え、気持ちを解放する、という働きがあります。

 実際に、アルコールが創造的な問題解決の成績を高める、ということを示したオーストリアの研究があります。

 70人の男女(平均年齢19~32歳)を、ビール摂取群、ノンアルコールビール摂取群に分けました。ビール摂取群のビールの量は被験者がみな同じ血中アルコール濃度になるよう、体重や年齢、性別に応じて調整され、例えば22歳で体重75kg、身長182cmの男性の場合は約500mLのビール、22歳、65kg、165cmの女性は約350mLのビール、というふうに設定されました。

 飲酒前後に創造的思考を測るテストが行われました。その結果、アルコールを摂取したグループは、アルコールを摂取していないグループと比べて多くの正解を出し、クリエイティブな思考が一時的に向上することが示されました(*1)。

なるほど、飲酒したほうがクリエイティブな思考が高まったのですね。

篠原さん:研究で行われたのは、何か言葉が出てきたときにそこから連想するワードがどのくらい出てくるか、というテストです。しらふのときには論理的なつながりのものだけをつないで連想しますが、アルコールによって脳が過剰に考えることを抑えると、ありえないつながりであってもつながっているように思えてくる、その結果、創造力の向上が起きると考えられています。

 飲んでいるときのほうがひらめく、みたいなことを言う人もいますが、あながち嘘ではないのかもしれません。また、この感じは、散歩などでぼーっとするときに活性化する「デフォルト・モード・ネットワーク」(リラックス状態であれこれと空想したり、ぼーっとしたりするときに活動が増加。ひらめきにも重要な回路)からも説明できると考えています。

*1 Conscious Cogn.2017 Nov:56:128-134.

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