平尾茂の湯ろ酒く佐賀
秋、お燗(かん)酒がうまい。新酒の仕込みやお酒コンクール受賞の情報も届いた。お酒がよりおいしく感じられる季節の到来だ。
お酒ファンは好みのお酒、銘柄、行きつけの居酒屋、お酒に合う料理、好きな酒器などそれぞれお持ちだろう。今日は、どの酒が一番うまいか、おすすめかは置いといて、飲み手として私なりのお酒の楽しみ方について少し書かせていただく。
まずは第一に、お酒は楽しく和気藹々(あいあい)と飲みたいもの。皆と楽しく飲む時もあるが、1人で飲む際も淡々と静かにやりたいものだ。一気飲みはダメ。少しずつゆっくり時間をかけてマイペースで飲むのがよい。お酒は適量が肝心。無理強いは禁物。
次に、様々な温度帯で楽しめるのが日本酒の特徴だ。ひや(常温)でもいいが、温度により熱燗(50度)、ぬる燗(40度)、人肌燗(35度)などでも楽しめる。我が家でも温度計を置いて湯せんを楽しむ。お酒はぬるめの燗がいいと歌の文句にもある。ぬる燗とぬる湯は副交感神経を刺激してリラックスできる。
さらに、季節のおいしい料理、できれば地の食べ物とお酒を楽しもう。今の季節だと、白石蓮根(れんこん)の煮付けや、新銀杏(ぎんなん)を焼いて燗酒といただくのはいかがだろう。
しまいに、飲んでも乱れないこと。江戸の武士の心構えや生き方などを聞き書きした「葉隠」にも、「打上り綺麗(きれい)にしてこそ酒にてあれ」とある。もちろん、飲酒運転は御(ご)法度、自転車の飲酒運転も。飲んだら歩こう。歩こう佐賀。あるこうる佐賀。笑。
駄洒落(だじゃれ)が出たところで、酒と洒の違いを。酒の酉は壺(つぼ)の象形文字。洒の字は洗い流す意味で両者の意味は異なる。「洒洒落落(しゃしゃらくらく)」はさっぱりしてわだかまりがないこと。ユーモアと心のゆとりを持つ禅僧の姿を表す。お酒も駄洒落もシンプルにかくありたいものだ。
お酒の蘊蓄(うんちく)を居酒屋のカウンターなどであれこれと披露するのはもっとも嫌われる。私も嫌われないうちに早々に退場するとしよう。そいぎね。
◆次回は25日に掲載予定です。
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