英製薬会社ラインファーマが開発した人工妊娠中絶のための飲み薬を巡り、厚生労働省の薬事分科会は21日、製造販売の承認を了承した。通常は1カ月以内に承認され実用化される見通し。国内初の経口中絶薬となる。
了承されたのは「メフィーゴパック」。2種類の薬剤からなり、妊娠継続に必要なホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」を投与し、36~48時間後に子宮の収縮を促す「ミソプロストール」を服用する。対象は妊娠9週以下で、原則保険適用外となる見込み。
承認の条件として、安全に使用できる体制が整うまでは当面、外来でも中絶が確認されるまで病院での待機を求める。悪用防止のため、製薬会社と医療機関に毎月、販売量と使用量を都道府県医師会に報告してもらい、管理を徹底する。
中絶を希望する妊婦120人が参加した国内の臨床試験(治験)では、93%で服用後24時間以内の中絶を確認した。
承認を巡っては、専門部会が今年1月に了承後、社会的関心が高いとして意見公募を実施。上部の薬事分科会で3月下旬に再審議する予定だったが、1万件超の意見が集まり、対応の整理に時間を要するとして、審議を延期していた。
国内の人工妊娠中絶では、子宮内容物を金属製の器具でかき出す「掻爬(そうは)法」と、管で吸い取る「吸引法」という手術がある。世界保健機関(WHO)は、子宮を傷つける恐れのある掻爬法は時代遅れだと指摘し、吸引法か薬剤による中絶を推奨している。
厚労省によると、令和3年度の国内の中絶件数は12万6174件だった。
飲む中絶薬「魔法の薬ではない」関東中央病院産婦人科医長・稲葉可奈子氏
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