「幸福」を3つの資本をもとに定義した前著『幸福の「資本」論』からパワーアップ。3つの資本に“合理性”の横軸を加味して、人生の成功について追求した橘玲氏の最新刊『シンプルで合理的な人生設計』が話題だ。“自由に生きるためには人生の土台を合理的に設計せよ”と語る著者・橘玲氏の人生設計論の一部をご紹介しよう!
アルコールは鎮静剤の効果は睡眠ではなく、前頭前皮質の麻痺
アルコールは鎮静剤に分類されるドラッグで、脳内の受容器と結合し、ニューロンの発火を抑えるはたらきをする。その効果は睡眠ではなく、前頭前皮質の麻痺だ。
アルコールはもっとも強力なレム睡眠抑圧因子のひとつで、夢を見ることができなくなる。それが劇的に現われるのがアルコール依存症者の振戦譫妄(しんせんせんもう)で、顕著な自律神経機能亢進のほか、幻覚などの症状が出る。睡眠時のレム睡眠の不足がマグマのようにたまった結果、それが覚醒時に噴き出してくるのだ。
アルコールは眠りによる学習効果も阻害する。被験者に新しい言語の文法を学ばせたあと、初日にアルコールを摂取させたグループでは、1週間後には「部分的な記憶喪失」とでも呼べる状態になり、覚えたことの半分を忘れていた。
ここまでは従来の研究で確認されていたが、驚いたことに、初日と2日目を熟睡し、3日目の夜にアルコールを摂取したグループでも、覚えたことの40%を忘れていた。これは、複雑な知識を脳に定着させるのに数日間のレム睡眠が必要なことを示している。
こうした悪影響を考えると、アルコールの摂取量を減らすだけでなく、できるだけ夜には飲まないようにした方がいいだろう。とりわけ寝酒(ナイトキャップ)は、睡眠の質を大きく下げるようだ。
「薬で眠った脳は、いちばん大きく、いちばん深い脳波が欠けている」
アルコール以上に睡眠を阻害するドラッグが睡眠薬(催眠鎮静薬)だ。「薬で眠った脳は、いちばん大きく、いちばん深い脳波が欠けている」「自然な深いノンレム睡眠がなくなる」「ただ脳の外側だけを眠らせているにすぎない」と、ウォーカーは睡眠薬への依存を警告する。
睡眠薬で眠っても、すっきり目覚めることができない。そうなると日中に眠気が残っているため、コーヒーやお茶を飲み、カフェインのちからを借りて1日を乗り切ろうとする。そしてカフェインのせいで寝つきが悪くなり、しかたなくまた睡眠薬に頼るという悪循環から逃れられなくなる。
睡眠薬がないと眠れないというひともいるだろうが、本物の薬とプラセボ(偽薬)で眠りの深さにちがいはない。寝つきのよさについても、薬でもプラセボでも摂取したひとはいつもより10~30分寝つきが早くなったが、両者のあいだにほとんど差はなかった。この調査をまとめた研究者は「現在市場に出ている睡眠薬は、すべて医学的な重要性が低く、その効果には疑問が残る」との結論を出している。
睡眠薬は深い眠りを奪うのだから、睡眠の恩恵を受けることもできなくなる。記憶の定着についても、睡眠薬で眠ったグループは、最初の学習でつくられたつながりの50%を失ってしまった。記憶を強化するどころか、むしろ記憶を消すはたらきをするのだ。「睡眠薬を飲んだ人は、夜はいつもよりほんの少しだけ早く寝つけるが、朝には昨日の記憶をなくしている」らしい。
睡眠薬を飲んでいるとがんの発症リスクも高くなる。そればかりか、年間132錠を超える「ヘビーユーザー」は、睡眠薬は飲んでいないが同じような条件のひとと比べ、死亡リスクが5.3倍になった。年間にたった18錠でも、死亡リスクが3.6倍になるという報告もある。睡眠薬によって免疫機能が低下するほか、交通事故、夜間の転倒、心臓病や脳卒中の原因になるからだ。
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