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大プロテインブーム到来! 飲む前に知っておいてほしいタンパク質摂取の注意点 - Women’s Health Japan

少し前までは、“まずくて高価な筋肉増強剤”といったイメージを持たれていたプロテイン。

今ではようやく、“安くておいしいタンパク質補助食品”という本当の商品としての理解が進んできたように感じる。

「今でもプロテインを飲めば筋肉がつく、太るといったイメージをもっている人が少なくありませんが、かなり身近なものになりました。しかし、一般的な運動量でなおかつ食事がしっかり摂れていれば、無理をしてプロテインを飲む必要はありません。」

筋肉がつきやすくなる、多くなるといったイメージがあるものの、中身は食事と同じタンパク質。どう頑張っても自然の食材には敵わない。

最もポピュラーなホエイプロテインの生体内利用率は高いが、甘味料などの添加物も少なからず含まれる商品が多い。

パーソナルトレーナーの林健太さんは、タンパク質の過剰摂取にも注意してほしいと言う。

「どんな栄養も摂りすぎて良いものはありません。タンパク質も同様なので、体重×〇gといった安易な計算式で考えるべきではありません。一般的な食事で摂りすぎることはありませんが、タンパク質量を把握せずにプロテインを一日に複数回摂取する人は注意が必要です」

タンパク質の適正量やプロテイン摂取の注意点などを今一度見直し、サプリメントに頼り過ぎない食生活を確立していこう。

①体重からの摂取量をあてにしない

アメリカ・カナダの食事摂取基準では19歳以上の男女のタンパク質維持必要量を0.66g/kg体重/日としている。2007年にWHOを含む三つの機関から発表された報告でも同じ数値だったことから、厚生労働省も同量をタンパク質維持必要量としている。

しかし、特に運動している人にとって体重だけで判断するのは安易すぎるというのが林さんの意見。

「同じ体重でも体脂肪率が違えば必要とするタンパク質も当然変わります。大切なのは除脂肪体重から必要量を計算することだと考えています。総摂取エネルギーの20%を超えると高タンパク質摂取と言われるので、2,000kcal摂取している人であれば400kcal分(=100g)でも過剰と言われる量になります」

もちろんこの程度で体に害を及ぼすことはないが、特に激しい運動習慣のない人であれば除脂肪体重×1.0~1.5g、運動をしている人であれば除脂肪体重×1.5~2.0gが健康を維持するには適切だと林さん。

「もちろん、筋肉を付けることを優先する人はもっと多くのタンパク質が必要になりますが、この程度でも健康的な体に近づけることは知っておいてほしいと思います。最も重要なエネルギー源である炭水化物(糖質)、適正量が必要な脂質から引き算した残りのカロリーをタンパク質で補う考え方で十分です」

②消化に時間がかかる

woman sleeping on pocket watch

Malte MuellerGetty Images

タンパク質はアミノ酸が複数繋がった高分子化合物。

それ故に消化には多くのエネルギーと時間を要するので、朝食から欠かさずに毎食タンパク質を摂ることで、一日を通して体中に栄養が供給される。

「プロテインはほとんど脂質を含みませんが、お肉や魚、大豆は脂質を含むため、胃の滞留時間が長くなります。つまり、腹持ちは良いものの消化に時間がかかるので、就寝前の栄養摂取という点だけを切り取れば食事よりもプロテインが向いています」

反対に朝食をプロテインだけで済ませてしまうと、ランチ前に空腹に襲われる可能性も。やはり朝食はプロテインだけでなく食事を摂るのが理想の形だと林さん。

「アミノ酸はホルモンの材料にもなる重要な栄養素です。幸せホルモンのセロトニンや催眠ホルモンのメラトニン、脂肪燃焼に重要なアドレナリンを作るためにも、朝食からしっかりとタンパク質を摂る習慣をつけましょう」

③ビタミンB6は忘れずに

タンパク質代謝の補酵素として重要なビタミンB6は、前述のホルモンを作るためにも非常に重要な働きをする。肉や魚にも豊富に含まれているものの、タンパク質を多くとる人はより気を付けておきたいところ。

「ビタミンと同時にミネラルの不足にも注意が必要です。特にマグネシウムや亜鉛はB6と共に補酵素の役割をしてホルモンを作り出します。大豆はこれらの栄養も豊富に含むタンパク質食材なので、肉や魚に偏り過ぎず、様々な食材からタンパク質を摂取することも意識してみましょう」

タンパク質源によりアミノ酸のバランスも異なるため、それぞれの過不足を補い合うためにも種類豊富なタンパク質を取り入れることが大切。

他に、ごまや青のりも3つの微量栄養素を豊富に含んでいるので、料理のトッピングやアクセントに使ってみて。

④動物性タンパク質はほどほどに

fresh tofu and vegetables, vegetarian

HUIZENG HUGetty Images

様々な食材からタンパク質を摂取することが大切である一方、動物性タンパク質はほどほどにすることを勧める林さん。

肉や魚といった動物性タンパク質の過剰摂取が、現代のがんを増やしている最大の原因となっているそう。

「特に牛乳に多く含まれるカゼインタンパク質が、がん促進物質であることは史上最大の疫学調査と言われるチャイナ・プロジェクトで証明されています。一方、植物性タンパク質の摂取はがんの増殖を促進することはないとされていますので、普段の食事のタンパク質バランスを見直すことが大切です」

もちろん全ての動物性食品をやめることは難しい上に、そこからしか摂取できない重要な栄養素も数々あるので、気にしすぎも禁物。

肉食のうえにホエイプロテインの摂取で、植物性タンパク質をほとんど摂っていないという人は、長期的な健康を見据えると習慣を改める必要があるかもしれない。

⑤コラーゲンも忘れずに

人体を構成するタンパク質のうち約30%がコラーゲン。

コラーゲンは特殊なアミノ酸を含むタンパク質である上に、種類が多い。見つかっているだけでも20型以上あるので、その材料が不足してしまっては皮膚や関節の健康も維持できなくなる。

「筋肉を鍛えるということは関節を動かすことです。関節は消耗品とも言われるように、一度痛めると回復が難しく時間もかかってしまいます。コラーゲンは関節のクッションとしても働きますので、運動量が多い人はタンパク質のコラーゲン比率を増やすことも視野に入れておきましょう」

体内のコラーゲン量は年齢を重ねるごとに減っていく。骨の健康にも大きく関与するタンパク質なので、特にアクティブな高齢者や女性はコラーゲンの含有量が多い食材やサプリメントもお勧め。

体内で一度アミノ酸に分解されたコラーゲンを再び合成するためにはビタミンCと鉄分も必要なので、タンパク質だけ摂れているからと安心するのは禁物。

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