【3月8日 CGTN Japanese】中国南部の広東省広州市に住む16歳の少年の彬彬さん(仮名)は、普通の人の数倍に当たる毎日9リットルの水を飲まなければならなくなりました。しかも短期記憶力が著しく低下して、水が流れていくように一瞬にして物事を忘れてしまいます。検査の結果、原因は頭蓋内のトルコ鞍と呼ばれる部位の胚細胞腫瘍と分かりました。
彬彬さんは毎日、「先生、あなたはどこの人ですか」「食べ物を持っていますか」の二言を口癖のように話します。彬彬さんは昨年5月からこれまでに、広東三九脳科病院に何度も入院しているにもかかわらず、医師に毎日同じ質問をして、いつも食べ物を探します。
彬彬さんの父親によると、初めて異常に気づいたのは2021年の夏でした。その時には彬彬さんの水を飲む量が驚くほど多くなり、「18リットル入りの家庭用のウオーターサーバの水を2日で飲み切ってしまった」とのことです。当時は腎機能の問題や糖尿病を心配したのですが、検査の結果は正常でした。その後は水を飲む量が少し減ったので、医師に診てもらうことをやめてしまいました。しかし彬彬さんは2022年10月に再び急に異常をきたし、激怒しやすくなりました。思春期のうつ症状として数か月間にわたり治療を受けたのですが、好転しなかったばかりか視野欠損も表れ、歩くときによく転ぶようになりました。
その後、昨年3月になって初めてトルコ鞍部の異常が確認されました。当時は膠芽腫や頭蓋咽頭管腫が疑われ、腫瘍切除術を行って、病理学の見地からは胚細胞腫瘍と診断されました。彬彬さんはそのころから短期記憶障害を発症し始め、体重も55キロから75キロに急増しました。彬彬さんは2023年5月に、新たな診療を求めて広東三九脳科病院に来院しました。
病理結果に基づく複数の医師による初めての立会診察では、単純な胚細胞腫瘍が疑われました。しかし再検査をしたところβ-HCG(ヒト絨毛膜ゴナドトロピン)の数値が明らかに上昇しており、混合型の胚細胞腫瘍であり、再発の兆候があると最終的に診断されました。医師は総合的に考慮して、家族の同意を得た上でまず放射線治療を行って腫瘍を抑制することにしました。彬彬さんは4回の放射線治療を経て体温がようやく正常になり、情緒も安定するようになりました。現在は化学療法を受けており、1日に飲む水の量は3リットル前後に抑えられているとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News
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