余計なことをするな
厚生労働省が2月19日、飲酒のリスクや体への影響をまとめたガイドラインを初めて発表しました……が、余計なことするんじゃないよ。産経新聞電子版には以下の記述があります。
〈指針によると、大腸がんの発症リスクを高める飲酒量の目安は、1日当たりビールロング缶1本に相当する約20グラム(週150グラム)以上などと例示。特に高齢者は体内の水分量の減少などで酔いやすく、飲酒量が一定量を超えると認知症が発症する可能性が高まる。〉
また、生活習慣病のリスクを高める1日当たりの純アルコール量は男性は40g以上、女性は20g以上だそうです。20gはビール500mlと日本酒一合(180ml)に該当します。
厚労省は、人類史以来の文化である「酒」について余計なことするな。貴殿らは散々この4年間、マスクしろ、移動するな、高齢者に配慮しろ、ワクチン推奨します(強制じゃないよー)、会食するな、会食しても酒飲むなよ、なぜなら酒飲むと気が大きくなり飛沫を飛ばすからな、4人以下で2時間以内にしろよ、帰省するな、などと国民に生活指導をし続けて、今度は「ビールはロング缶1本まで」と指導するんか。
下手すりゃ8リットル飲むことも
いい加減にしてもらえませんか? 国民の健康を司る省庁である貴殿らはこの4年間、「(高齢者の)命を守る」を名目に、子供・若者も含めた国民全体のQOL(生活の質)を下げるようなガイドラインばかり作ってきた。講談社のコクリコという子育て情報サイトは2月21日、「【アフターコロナ】「思い出がない」「マスクが外せない」 幼稚園・保育園&小学校の深刻な影響をママたちが報告」というアンケート調査の結果を発表した。
貴殿らの作ったガイドラインがこのような悪影響を与えた。そして今回は大人に向け、「がんと認知症になる可能性が高まるから酒は控えてはいかがでしょうか」ですか。
「愚行権」って分かります? 人間は病気にならないために生きているわけじゃないんですよ。こちとらこの20年、毎日2リットル以上のビールを年間360日飲む生活をしているんです。飲み会が何しろ多いので、下手すりゃ8リットル飲むことだってある。現在50歳ですが、別に大腸がんになっても構わない。やりたいことはすべてやった。
そんな人間にとって今回のガイドラインは邪魔なんです。そもそも、酒が身体にとっていいワケがない。「酒は百薬の長」という言葉は呑兵衛が自己正当化のために作ったものでしょうし、酒のような異物を体内に入れることが健康に良いとは思えない。
では、今回のガイドラインができたことで何が起こるか。情弱(情報弱者)は酒を控えることになるでしょう。ガイドラインを守る日本だから、ヘタすりゃ小売店は「健康を重視する当店はビールはロング缶一本まで」とか勝手に暴走し出すかもしれない。コロナの時、ガイドラインを命令かのように解釈する例が相次いだから、酒の件でもあり得る。また、家族の酒量に懸念を抱く人は「もう、厚労省がビールロング缶1本まで、って言ってるでしょ!」と家族に伝えることになる。本当は家計を心配してのことなのに、あたかも健康を心配しているかのように酒を控えるよう伝えるお墨付きが与えられたわけです。
がん家系
こうした連鎖が続くと酒造メーカーや飲食店・小売店の減収に繋がるし、ひいては国の酒税の減少にもつながる。新型コロナ騒動で、厚労省の通達というものがどれだけ国民に多大なる影響を与えたかを厚労省は身をもって知ったことでしょう。とにかく「健康」「命」を盾に取られると日本人はそこに従うのです。
もう、厚労省は「生活指導省」に名称変えたらいかがですか? あるいは「人の命は地球よりも重い」の精神をいかんなく発揮した貴殿らは「大地球防衛省」と、大見得を切ってもいい。今回、厚労省は酒と大腸がん、認知症の関連性について言及しましたが、これを私の一族で考えてみます。血が繋がっている父母と父方の祖父母・伯父・叔父・伯母、母方の祖父母・叔父10人についてですが、両方の祖父母4人は亡くなっています。伯父・伯母・叔父は全員生きており、最年長は88歳の父方の伯父です。
全員が呑兵衛です。しかし、誰一人として「がん」にも「認知症」にもなっていません。「がん家系」というものが取り沙汰されることがあります。その真偽はよく分かりませんが、少なくとも私の一族に「ロング缶1本以下」を適用させるのはQOLを下げるだけ。
がんを「不治の病」と扱い、「がん宣告」という言葉が恐怖の宣告のように扱われた時期もありました。
しかし、私自身、人間はいつか死ぬわけだからまぁ、自殺はしないでおこうかな、スタントマンとか危険な仕事はしないようにしようかな……程度の覚悟の安全意識で生きてきました。我が一族は酒量を減らしてまで楽しくない人生を送りたいと考える者はいない。
より危険なスポーツに
こうした時に思うのはエナジードリンク「レッドブル」が冠スポンサーを務める各種危険なスポーツです。崖の上から海にダイブしたり、高速の飛行機でチェックポイントを通過したり、MTB(自転車)で崖を駆け下りたりする。「サンデーモーニング」(TBS系)に出演していた張本勲さんが「なんでこんな危険なことするのかねぇ。なにが楽しいのかねぇ!」と毎度苦言を呈したイベントの数々でしたが、私はレッドブル関連の仕事に携わったことがあるので、その理由を説明しましょう。
ある時、日本法人の広報業務を請け負うフリーのPRプランナーから相談をされました。それは驚きのものでした。
「中川さん、オレ、レッドブルの担当しているんですが、なんか協賛するにあたっていいイベントないですかね?」
「エナジードリンクだったらどんなスポーツイベントでもしっくりきませんか?」
過度な生活指導にヘイトを抱く人も
「いや、実はあの会社、『より危険なスポーツ』に協賛したいんですよ。日本国内でそんなに危険なスポーツがないのでどうしたものか…と思ってるのです」
そこで私は自宅に帰り、まとめたのですが、北海道の「雪合戦」、岸和田の「だんじり」、岡山県の西大寺の「はだか祭」、兵庫県西宮市・西宮神社の「福男選び」を挙げました。これには彼も「おっ、いいラインナップですね」と言ったのですが、人間って、危険かもしれないけどバカなことをやる動物なんですよ。
しかしながら今の厚労省は「とにかく命が大事です。少しでも寿命を減らす行為はやめましょう」的モードに入っている。呑兵衛にとって「ビールは1日ロング缶1本」なんて指導、本当にやめてほしいです。いつから厚労省は国民の娯楽や生活スタイルにいくらでも指導をしていい役所になったのですか?
コロナで万能感を得たのかもしれませんが、正直貴殿ら厚生労働省の過度な生活指導に対してヘイトを抱く人々も一定数いることは覚えておいてください。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。
デイリー新潮編集部
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