料理や飲み物を口にする時、味覚、臭覚、触覚、視覚、聴覚の五感を通じて認知します。たとえば、食欲を刺激する食材の色としては、赤、橙、黄、緑などの色があります。それらを盛り付けたり注いだりする食器の材質や手触りで、感じ取れる味や香りに影響することが報告されています。
中央大学の有賀敦紀教授、松下光司教授は北海道大学大学院生の市村風花さん、東京大学の元木康介講師との共同研究で、飲料を飲むときのグラスの厚みが緑茶の味に影響を与えることを明らかにしました。グラスの厚みに着目したところ、厚みで味覚評価が変化することが判明。緑茶は厚いグラスで飲むと甘くなり、薄いグラスで飲むと苦くなるというもので、この研究の知見は同じ飲料であってもグラスの厚みを変えるだけで消費者に多様な味覚を提供できる可能性、すなわち個人の好みに合わせた飲用体験を提供できる可能性を示しています。
これまでの先行研究では、容器(グラスやマグカップなど)の色、形状、材質、手触りなどの視覚情報や触覚情報が、飲料(ワインやコーヒーなど)の味覚評価に影響を与えることが報告されています。しかし実際に飲料を飲む時、常にそれらの情報を認識しているわけではありません。飲んでいる最中、グラスの形状は視界に入りません。本研究は飲んでいる最中に常に入力がある容器の飲み口の厚みに注目。唇における触覚入力が飲料の味覚評価に与える影響を調べました。
■厚みの異なる2種類のグラスで実験
実験では厚みの異なる2種類のグラス(薄いグラスは1.2 mm、厚いグラスは2.8 mm)に常温の緑茶を注ぎ、目隠しをした参加者が順番に試飲。甘味、苦味、酸味、まろやかさ、コク、清涼感、美味しさを評価しました。その結果、厚いグラスで飲んだ緑茶は薄いグラスで飲んだ緑茶よりも甘く、薄いグラスで飲んだ緑茶は厚いグラスで飲んだ緑茶よりも苦く評価されました。参加者は目隠しをしていることから、唇における厚みの触覚入力が緑茶の味に影響を与えたことが示されました。
厚みの異なるグラスは重さも異なっていたため、その後の実験では重さの影響を調べました。その結果、こうした結果はグラスの重さだけでは説明できないが、グラスの重さも重要な要因であることがわかりました。厚みと重さが自然な組み合わせであったとき、緑茶の味覚評価はグラスの厚みの影響を受けることがわかりました。
■消費者に多様な味覚を提供
この研究で、同じ飲料でもグラスの厚みを変えるだけで、個人の好みに合わせたサービスを提供できる可能性が示唆されました。レストラン、カフェ、居酒屋などの飲食店のサービスの幅も広がるかもしれません。
さらに今回の結果は、唇から感じる触覚が味覚に対して影響を与えることを示唆しており、プラスチックストローの代替品である紙製ストローの影響を考える上でも役立つとみられます。
from "飲む" - Google ニュース https://ift.tt/YyGf8nD
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "厚いグラス→甘いお茶に、薄いグラス→苦いお茶に!?飲み口の ... - 神戸新聞NEXT"
Post a Comment