千葉県八街市で市立朝陽小学校の児童5人が死傷した事故から、28日で2年になる。NPO法人「いのちのミュージアム」(東京都日野市)の理事、岩嵜(いわさき)悦子さん(72)=東京都多摩市=は21年前、三男の元紀(げんき)さん=当時(19)=を飲酒運転によるひき逃げ事故で失った。飲酒運転の厳罰化に力を尽くし、命の大切さを伝え続ける岩嵜さんは「お酒は豊かな時間を与えてくれる。ただ、飲むことと運転だけは一緒にしないで」と呼びかけている。
「涙が出た。家族のことを思うと切なかった。なんでこんなことが起きるんだろう」。2年前、岩嵜さんは八街市の児童5人死傷事故の報道に接してこう思った。自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪に問われた元運転手の男は懲役14年の千葉地裁判決が確定しているが、「自分は事故を起こさないから大丈夫と安易に考え、飲酒運転を続けていた」とされる。岩嵜さんは「大人の勝手な思い上がりで、夢と希望にあふれた子供たちが奪われ、あきれるばかりだ」と憤る。
元紀さんは、岩嵜さんにとって3人息子の末っ子。公務員を目指して専門学校に通っていた。しかし平成14年1月23日深夜、原付きバイクに乗っていた元紀さんは、後ろからきた飲酒運転のワゴン車にはねられて約90メートル引きずられ、頭蓋骨骨折などで亡くなった。
加害者は、元紀さんをひき逃げした後にさらに酒を飲んで飲酒運転の事実をもみ消そうとしていた。勉強のために喫茶店に出かける元紀さんに、「行ってらっしゃい」と声を掛けたのが最後の会話となった。
岩嵜さんは「葬儀などもしたが、当時のことはあまり覚えていない」という。ただ、「納棺してから、次男が『バイバイじゃないからね』と大きな声で泣き叫んだことは、いまでも忘れられない」と涙をみせた。「被害者や加害者は1人や2人でも、家族や友達みんなが心に傷を負っていることをわかってほしい」
加害者は当初、業務上過失致死罪で起訴。重大で悪質な事故だったにも関わらず、前年の平成13年に新設された危険運転致死傷罪が適用されず、岩嵜さんは署名活動などを実施。加害者は最終的に同罪で追起訴され、懲役8年の実刑判決が言い渡された。
裁判が終わった後も、岩嵜さんは自動車運転処罰法(26年施行)のために署名活動を行うなどしてきた。「加害者寄りだった裁判も変わってきた」と話す。
独立行政法人自動車事故対策機構千葉支所(千葉市美浜区)で7月1日まで開催中の「生命(いのち)のメッセージ展」では、飲酒運転による交通事故で犠牲となった10人の「メッセンジャー」と呼ばれる等身大のパネルが展示され、元紀さんのメッセンジャーも思い出の写真などとともに並んでいる。
「ちょっとした気の緩みで、加害者にも被害者にもなりうる。私たちのような悲しみの家族は最後にしてほしい」。岩嵜さんはこう訴える。(前島沙紀)
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