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「飲むわらびもち」が第2のタピオカに 数年で150店以上に - 日経クロストレンド

伝統ある和菓子であるわらび餅をストローで飲む驚きのドリンク「飲むわらびもち」に“改造”したのが、わらび餅専門店「とろり天使のわらびもち」だ。2020年の1号店オープンからわずか数年となる23年5月時点で、既に150店舗以上を展開。新しい食感が若者の心を捉え、“第2のタピオカドリンク”ともいえる状態になった。

※日経トレンディ2023年6月号より。詳しくは本誌参照

「とろり天使のわらびもち」の定番商品「とろとろ生わらびもち」

「とろり天使のわらびもち」の定番商品「とろとろ生わらびもち」

とろり天使のわらびもち

わずか数年で150店以上のスピード出店 新食感が若者にヒットした「ネオ和菓子」

 2020年の1号店オープンからわずか数年となる23年5月時点で、既に150店舗以上を展開。わらび餅専門店「とろり天使のわらびもち」が躍進している。

ストローで飲めるほどとろとろした食感だという発想から、「飲むわらびもち」が生まれた。写真は天神橋本店の内観

ストローで飲めるほどとろとろした食感だという発想から、「飲むわらびもち」が生まれた。写真は天神橋本店の内観

 認知が瞬く間に広がったのは、伝統ある和菓子を新しい形に“改造”したことが若者の心を捉えたからだ。わらび餅をストローで飲む驚きのドリンク「飲むわらびもち」は、和菓子に生クリームがのったSNSへの投稿意欲を誘うかわいらしい見た目も特徴。何より新しい食感が若者の心を捉え、“第2のタピオカドリンク”ともいえる状態になった。

“わらびもちドリンク”が知名度拡大の起爆剤になった

わらび餅を飲むという驚き、かわいらしい見た目などから「飲むわらびもち」が若者の間で人気が爆発。知名度拡大の契機になった

わらび餅を飲むという驚き、かわいらしい見た目などから「飲むわらびもち」が若者の間で人気が爆発。知名度拡大の契機になった

SNS上ではこんな声も

SNS上ではこんな声も

 豊富なバリエーションも魅力だ。例えば、水戸の店なら水戸メロン、沖縄の店なら紅芋といったように、店舗ごとに地域の特産品を使うなど工夫を凝らした独自メニューがある。観光客や別の地域で暮らす人の集客のため、飲食チェーンが一部店舗で独自のメニューを販売するケースは従来からあるが、「全店舗のうち9割以上にはオリジナルのメニューがある」(とろり天使のわらびもち総務部部長の村上このみ氏)という種類の多さには驚かされる。

9割以上の店舗で独自メニューを販売

各店のオーナーが独自メニューの開発・販売を行っており、実際多くの店にそこでしか買えない「わらび餅」がある。水戸ならメロン、沖縄なら紅芋などの名産品を使い、観光客にもヒットしている。写真左は水戸店、右は那覇国際通り店

各店のオーナーが独自メニューの開発・販売を行っており、実際多くの店にそこでしか買えない「わらび餅」がある。水戸ならメロン、沖縄なら紅芋などの名産品を使い、観光客にもヒットしている。写真左は水戸店、右は那覇国際通り店

 とろり天使のわらびもちの店舗は8割近くがフランチャイズで、オーナーもそれぞれ異なる。多様なアイデアが出やすい環境を生かし、オーナーの裁量を高め、前述の店舗独自商品や店内設計の自由な提案を促している。そして、一定の基準を満たせば多くを許容。同じブランドでも、行く先々の店ならではの体験ができることで、ファンの回遊性を高めている。

品質の安定化とスピード出店へ 調理はセントラルキッチンに集約

調理時の製造工程や温度管理などで品質を一定に保つため、定番商品はセントラルキッチンで製造したものを各店舗へ配送。店は10坪程度で十分といい、新規出店もしやすくなっている

調理時の製造工程や温度管理などで品質を一定に保つため、定番商品はセントラルキッチンで製造したものを各店舗へ配送。店は10坪程度で十分といい、新規出店もしやすくなっている

 若者だけでなく親世代を取り込んでいるのもヒットの理由だ。定番商品の「とろとろ生わらびもち」は、中高年になじみのあるスタンダードな和菓子。子が飲むわらびもちを好んでいることからわらび餅専門店の存在を知り、親も行くという消費を生んでいる。希少な「本わらび粉」を使うなどとろとろした食感が特徴で、小箱で650円(税込み)だが、自分への褒美や家族への手土産に好まれている。

ヒットメーカーはZ世代をこう見る

とろり天使のわらびもち 総務部部長 村上このみ氏

とろり天使のわらびもち 総務部部長 村上このみ氏

財布のひもが固いZ世代には「安さ」より「高価値」で訴求
 Z世代は買って帰り家族や友達とシェアしたり、SNSに投稿したりする場面で、商品を通して自分の好みを評価してほしいという感覚がある。“映える”見た目だけでは選ばれない。買うものはSNSなどで入念に調べるので、財布のひもは固いかもしれないが、逆に単価が高くても相応以上の価値があると判断されれば買ってもらえる。

「日経トレンディ2023年6月号」の主な内容を紹介

【最新10大トレンド予測】
●働き方
AIコパイロットがホワイトカラーの仕事を補佐
●エンタメ
リアルでも“没入感”! 「イマーシブエンタメ」って何だ?
●アウトドア
1人用家電とポータブル電源でキャンプが「オール電化」に
●住宅
ニューノーマル時代にフィットする「新しい間取り」
●スポーツ
ありえない視点から試合を観戦! ボリュメトリックの未来
●映画
「5時間滞在」も可能にする、映画館の次世代スタイル
【2023年上半期ヒット大賞&下半期ブレイク予測】
●食品・菓子
「カップヌードル ねぎ塩」など定番の刷新が相次ぎ大成功
●酒類・飲料
「食事に合う酒」は充実一途。飲料は免疫・睡眠系が伸長
●家電・デジタル
1人用食洗機や変形サウンドバー……省スペースが鍵に
●医薬品
興和が新型コロナ検査キットで圧倒的シェアを握った理由
●日用品
“回る”浴室用洗剤がヒット。インフレ対策で大容量商品も好調
公共料金の裏ワザ
パナソニックデザインの挑戦
傘ソムリエが試して選んだこれから買うべき最新トレンドの傘
影山優佳インタビュー


日経トレンディ6月号

【最新号のご案内】日経トレンディ 2023年6月号
【巻頭特集】10大トレンド予測
【第2特集】2023年上半期ヒット大賞&下半期ブレイク予測
【第3特集】公共料金の裏ワザ
【SPECIAL】影山優佳インタビュー
発行・発売日:2023年5月2日
特別定価:750円(紙版、税込み)
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