ワインは飲むけれど、ワインはいつも「勘」で選んでいる。そんなプチワイン好きの人のための本があります。複雑でとっつきにくいワインの世界を、図やマンガを駆使して「これ以上ないほどわかりやすく」解説しました。個性豊かな34種のぶどうたちが、ゆかいな学園生活の中で、味や香りの特徴をしめしてくれます。
「図解 ワイン一年生」(小久保尊 著、山田コロ イラスト)サンクチュアリ出版
ソムリエはラベルの意味がわかっている?
ソムリエはラベルを見て、それがいいワインかどうかわかるのでしょうか? 小久保さんは「わかるものもあれば、わからないものもある」と解説します。
「なぜここで『そりゃプロだからわかります!』と断言できないかというと、ワインのラベル情報というものは、残念ながらけっこういい加減に記されているものだからです。そして一般的な傾向として、旧世界(ヨーロッパ)ワインのラベルはわかりづらく、新世界(ヨーロッパ以外)ワインのラベルはわかりやすく記されています」(小久保さん)
「ワイン売り場に足を運んだときは、その特徴を頭に入れてながめましょう。ワインが目の前に並んでいます。まずチリ、カリフォルニア、オーストラリアなど、新世界のワインから見ていきましょう」(同)
なにやら、新世界のワインはたいてい「単一」で、品種の名前がラベルにはっきり記載されていることが多いようです、それを見て好みの味を選ぶことができます。
「たとえば、赤ならカベルネ・ソーヴィニヨンカメルロー、白ならシャルドネかソーヴィニヨン・ブランが使われたワインを選んでおけば、たいてい外すことはなく『わかりやすくおいしい』ワインに当たります。あとはどれだけ値段をかけるかによって、より『わかりやすくおいしい』ワインに当たる確率が上がります」(小久保さん)
「旧世界のワインは、『品種』よりも『産地』が重要、おまけに野球の一軍二軍三軍のように『より格上か格下か』という階級も存在します。代表的なのは、フランスワインの『AOC』という階級制度です。これはどの土地の条件をクリアしているかという証明書です。その土地が狭ければ品質も値段の高くなります」(同)
「ワイン」とは奥深く難しいもの...ではない!
飲み屋でワインを注文することも、スーパーやデパートのワイン売り場に足を運ぶこともあります。しかし、ラベルには一体なにが書いてあるのか解読不能。千円のワインに比べて二千円のワインは、二倍おいしいの? ソムリエがよく口にする「ビロードのような舌触りってなに?」。筆者である私は、正直なところ、ワインに苦手意識を持っていました。
また、ワイン好きがよく口にする「マリアージュ」も苦手です。意味がよくわからないし、使用する場面がわかりません。店員さんやソムリエにワインの好みを聞かれても答えようがありませんから、おすすめの中から選べばいいや! となってしまいます。「ワイン」とは奥深く難しいものと考えていました。
ところが、この本は、生粋のアニメオタクからワインソムリエになり、いまは小さなワイン酒場のオナーソムリエをつとめる筆者が、「ワイン」を、まるでハビットのドット絵のように、オタク目線でおおざっぱに単純化して説明した「ワインのことがなんとなくわかった気になる」ワイン入門書です。
「ワインなんて世界中どこでも、日常的に飲まれているものです。なんなら『お水』よりも安いものだってたくさん存在します」と小久保さんは言います。
「ワインがとっつきにくい」のは、偉いワイン専門家の方々が書いている入門書やガイドブックが、どれも格式高くまとめられているからです。ワインの世界を理解するために必要なのは、正しい知識や歴史的背景ではなく、「ときめき」なのです。ときめくポイントさえわかればワインがもっと楽しくなるはずです。もっと気楽にワインを飲みましょう。
(尾藤克之)
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