スーパープレスティージュ開幕戦の翌日、シクロクロスのトップ選手たちはベルギーのリンブルフ州にあるマースメヘレンへと移動。初開催地マースメヘレンでのUCIワールドカップ第4戦へと臨んだ。
ブリュッセルから約100km。自然豊かな国立公園を使ったコースは小さな丘の登り下りや急角度のキャンバーが連続する、フィジカルそしてテクニカルも要求されるタフなレイアウト。ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は「急ターンやキャンバーが多く、石も多くパンクやスリップの危険性もある。どこを走ってるか分からない不思議なコース」とレース前に評している。
女子エリート:三つ巴の20歳バトル ファンエンペルがW杯4連勝をマーク
女子エリートレースでは、長いロードシーズンを終え、短い休息とコンディショニングを終えた世界女王マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がシクロクロス今季初参戦を果たす。しかし保有ポイントゆえスタート位置が悪く、W杯3連勝中のフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)、そしてシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が抜け出した時、レース最前線に位置取ることはできなかった。
20歳のオランダ勢3人がレースを支配した。中盤から後半にかけてファンアンローイがリードする場面もあったものの、ファンエンペルは集中した表情で対処して引き戻す。ピーテルスはシケインを全周回飛び切ったものの、バニーホッパー有利と言えない場所設定であり特に優位を見出せない。前日のスーパープレスティージュ開幕戦を見送った3人の先頭パックは最終周回まで崩れることがなかった。
最終周回に入るとピーテルスの攻撃が激化したが、ファンエンペルは全て対処し、周回後半に自らアタック。「最後の急勾配区間で差が生まれていることに気づき、そのまま踏み込んだ」と振り返るW杯ランキングリーダーが最後までリードを維持しきった。
「今シーズンで一番タフなレースだった。常にペダルを踏み込む必要があるタフレースだったけれど、勝てて本当によかった」と振り返るファンエンペルが開幕4連勝をマーク。2位はピーテルスで、3位はファンアンローイ。アルカンシエルを着たフォスは着実な追い上げで6位フィニッシュだった。
男子エリート:スウェークが待望のワールドカップ初勝利
前日のスーパープレスティージュ開幕戦で、ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)がエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の戦略に不満を募らせ、さらにイゼルビット側も対抗するコメントを出すなど、昨年までのチームメイト同士の諍いが取り沙汰されている男子エリートレース。リベンジに燃えるスウェークがダッシュを決め、最初の激下りでクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム)が落車後退するなど目まぐるしい展開で幕開けた。
ハードパックの高速レースをスウェークが引っ張り続けた末、スタート後25分が経過しようかというタイミングで先頭グループはスウェークとW杯4連勝が懸かるイゼルビット、そしてマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の3名に絞られる。すると直後、小石が散らばる下りコーナーで先頭のイゼルビットが激しく落車した。
イゼルビットはすぐ再乗車したものの、膝から血を流し、さらにバイク交換で遅れを喫する。千載一遇のチャンスを掴んだスウェークはすぐさまアタックし、食らいつくファントーレンハウトを千切って独走体制に持ち込んだ。
「序盤から調子が良かった」と振り返るスウェークは、応援団の歓声に後押しされたタイトリードを最後まで維持。60分レースの後半30分を独走しきってフィニッシュに飛び込んだ。長らくトップ選手の一人として活躍するスウェークだが、ワールドカップでの優勝は今回が初めてだ。
「エリ(イゼルビット)と僕はお互いに差をつけようと限界のペースで走っていたけれど、勝負を分けたのはミス。お互いに小さなミスを繰り返していたけれど、彼のミスは大きかった。最終周回でも全く気を抜けなかったよ。」と、嬉しい初W杯優勝&昨日のリベンジを喜んでいる。
また、イゼルビットや前日に続いて再びパンクに見舞われたラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)はコースの危険性について意見を揃えた。「たくさんの選手がパンクしていたし、W杯にはふさわしくない危険なコースだった。もし雨が降れば5年前の世界選手権のようなパンク祭りになるだろう。でも大切なのはファンが多く来て、その前でレースをできたこと。彼らのために走るのは楽しかった」とファンデルハールは話している。
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